DAOの基礎知識

基礎知識-2 DAOの特徴

DAOの特徴~組織・ビジネスの特徴~

これから新規プロジェクトをスタートさせたい、起業したいなどの場合、会社組織にするのかDAO組織にするか、又はそれ以外の組織形態をとるのかはその後の事業実施にあたって大きな影響が出る可能性があります。
そこで、DAOの活用方法について考えてみます。

※日本でDAOを設立するには法制面や税制面の問題があり、多くの起業家はシンガポールなどで法人を設立し、その法人をベースにDAOを設立しています。
※法規制、税制については下記記事を参照してください。
DAOの基礎知識 -どの国に設立?-

そのような点も踏まえ、DAO設立の留意点を考えます。

最初にDAOがどのような特徴があるかを考えてみましょう。

DAOの特徴

DAOには下記のような特徴があります。

DAOの組織の特徴とビジネスモデル

DAOはサイバースペース上に設立され、どの国の法律にもしばられない組織体。
組織の目的を共有する人が投資・労働により目的の実現を協同で目指す組織。
組織体が仮想通貨を発行し、設立者や投資家による通貨の購入などで資金を集め、コントリビューターと呼ばれるスタッフなどの協力によりプロジェクトを実現させます。
目的が達成されると仮想通貨の価値があがり保有者全員に値上がり利益が共有される。

〇組織の成り立ち
目的を共有する有志があつまる。

〇意思決定方法
仮想通貨の保有割合に応じた投票で意思決定される。

〇仮想通貨の入手
購入(投資)または貢献による入手。
※途中参加の協力者や顧客さえも通貨保有の機会が提供される場合もある。

〇働き方
だれでも可能。報酬は仮想通貨。
通常はdiscordでコミュニケーション、Notionなどのツールで定性情報を共有。
資料を見て判断できる人がタスクをこなすイメージ。
誰かが指示・監督するのではなく、みずから提案し採択されるとそれが仕事になるのが普通のようです。

DAOを成功させるための必要条件

そもそも「DAOの成功の定義」もモノサシがないのですが、「スケールさせること=成功」で考えた場合に下記のようなことが大切だとされています。
・理念  みんなから共感されるアイデア
・設立者 ネット上での発信力(信用とがありフォロワーの多い人が設立していると投資と人材吸引のパワーが強い)
・運用  コミュニティ運用能力
理念・設立者・運用力がそろっていれば、参加メンバーも多く・貢献の質も高くなり、DAOの価値が高くなり、スケール化する。
このように考えると、大量製品・大量消費のマスプロダクトよりも、消費者の気持ちの入った感性型の消費やサービスの方が向いているかもしれません。
安くてよい商品を単に提供するのではなく、無印良品のようにブランディングをしながら商品開発・消費者コミュニケーションをしながらプロダクトを提供するイメージでしょうか。
ちなみに、成功しているDAOにはすべてといっていいほどDiscordによるユーザーコミュニティがあります。
そこでは熱量の高いコミュニケーションが行われています。

●留意点

これまでにない組織であることを踏まえ、下記のような特徴をよく理解してDAOを運用することが大切とされています。

〇組織運営上の視点
DAOは強制力を伴う規定がないことが多いため、良く言えば協同責任運営、悪く言えば無責任体制となる。
うまくいけばいいが、うまくいかない場合には誰もリカバリーしないことがあります。
また、業務の品質管理もとても難しい。
そういう面から初期段階はトップダウンにならざるを得ないことも多く、そのためにコミュニティに反発されコンフリクトしてしまうというジレンマも多いようです。

投資の側面からすると、仮想通貨の過半数を設立者が保有などもないため、意思決定が思うようにできないこともるとともに、投資のリターンを求めて自由に資産を移動できないことも多い。
ただ、成功しているDAOは5年程度で仮想通貨の価値が上がり、マーケットで売却が可能になっているケースも多く、株式投資が7年~10年かかるのが一般的であることと比較すると回収スピードは早い。

〇設立場所(どの国をベースにDAOを設立するか)

詳しくは別途easy-dao.jpの記事「DAOの基礎知識 -どの国に設立?-」を参照いただきたいですが、
現在日本では、DAOを設立する上での規制や税制面での障壁がすごく大きいため国内で設立するのはやめた方がいいという論調が主流です。
簡潔に論点記載します。
1-法律面での問題
DAOはサイバー空間上のブロックチェーンにしか存在しない組織だとしていも、何か問題が起きた場合には実質的支配者がその責務を追求される可能性があります。
例えば、DAOで集めた資金がハッキングされ流出してしまったなどの場合、設立者などが無限責任を追及される恐れがあります。
また、金融庁の規制から仮想通貨を販売できるのは仮想通貨交換事業者の免許を保有している法人に限られます。
れは事実上DAOが通過を発行・販売しての資金調達ができないことを意味します。
2-税法上の問題
税法も大きな障壁となっています。
日本の税制では仮想通貨の含み益や通貨交換にも課税されます。
そのため、通貨価値の値上がりがDAO組織にとっても、投資家にとってもメリットにならず、逆に税金のために赤字なることになります。
このような意味で日本でのDAOの設立は現実的ではありません。

成功しやすい業種と成功しにくい業種

成功しやすい業種

大まかな傾向として、目標とプロセスがシンプルでデジタル的に明解なプロジェクトが成功しているケースが多いようです。
また、既存のwebサービスができないサービスを実現できているサービスも成功ケースが多いと言えます。

現在独自通貨を発行しているDAOのうち、有名なDAOが存在しているカテゴリー分類しながらどのようなDAOが成功しやすいかを検討してみます。

金融系、投資系など目的とプロセスが明確な業種

DeFiなどの仮想通貨交換所など
例) unoswap、sushiswap、MakerDAOなど

メタバースやGame(GameFi)などのサイバー上の新サービス。

例) Sandbox、decentralamd、openseaなど

マーケットプレース

人材、音楽、NFT作品など
例) opensea,nounsなど

現在はメジャーではないが今後台東するであろう業種(筆者独断)

行政・法律業務
税金徴収、政党、NPOの意思決定・資金運用、弁護士、薬剤師

成功しにくい業種

サイバー空間上に再現が難しいもの。
プロセスの承認が複雑なもの。

第一次産業全般、医療、フード、旅行業界など。

第一次産業全般といっても、例えば、農業法人がDAO化し、特定の畑でとれた作物をDAOのメンバー限定で購入するようなことはあるかと思いますが、現在の流通全体をDAOが変革するかというと難しいのではないかと思います。
また、フード・旅行についても特定会員組織をDAO化していくなどは考えられますが、
業界全体をDAOが変革していのはハードルが高い業種ではないかと考えます。

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※私が成功しやすい業種と成功しにくい業種にわけましたが、まだまだDAOは黎明期、これから様々なDAOが登場し、私の想像をはるかに超える成功を収めていくでしょう。

●最後にDAO活用のメリットをまとめます。
1-民主的な組織運営をしたいという考えを実現
2-ステークホルダー全員を支援者として成長させる仕組み
3-自走型組織の形成がより大きな成長を獲得する可能性
4-少額資金のプロダクト開発+マーケティング
5-DAOであることの注目度アップ

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