DAOの基礎知識

DAOの設立 -資金調達編-

創業時・アーリーステージの資金調達

まず、最も基本となる創業時・アーリーステージの資金調達について考えましょう。
創業時やアーリーステージにおいての資金調達は身近な人から調達するのが良いとされています。
<理由>
1-資金調達が簡単=内容が拙くても人を信じて出してくれることが多い。
2-説明が拙くても身近な人であれば聞いてくれる。
(そのため練習台にできます。)
ここで指摘された疑問点を解消するプランやプロダクトを検討し、次のエンジェル(投資家)への説明に活かすことが大切です。

アップルもグーグルもこのような自己資金や身近な人からの資金調達でスタートしています。
しかし、クリプト業界は少し違っています。
全く実績がなくても外部から資金が集まっているケースがあります。
(古くはThe DAOや最近ではconstitutionDAOなど)
世界中の仮想通貨投資家や投資DAOの存在があるからです。
DAOの世界ではエンジェルや家族ではなく、このようなクリプト投資家による投資でスタートしているDAOもあります。
それでは一般的な資金調達のステップを紹介します。

準備段階(MVP(Minimum Viable Product)と事業計画の作成)

どのようなDAOを作るのかを明確にし、初期のプロダクトを作るステージです。

step-0.1 DAOの事業計画を作成する。

(事業計画の作り方は当サイトのDAOの設立-企画編-を参照)
https://bit.ly/3rNr61n

step-0.2 MVP(Minimum Viable Product)の作成

サービスの基本となるプロダクト(MVP)の作成。
事業計画+仮想通貨の発行計画を作成。
MVPに対応する仮想通貨を発行(ここではクリプトXと呼びます)

調達1.0 (調達規模 数百万円~数千万円)

初期のプロダクト制作、コミュニティなどの体制づくりの資金調達を行うステージです。
この段階でクリプトXの発行量と分配は大まかに決めておきます。

step-1.0 自己資金+知人友人からの調達

自己資金及び知人友人にクリプトXを購入してもらいます。

step-1.1-エンジェル投資

エンジェルネットワークからの調達
エンジェルと言われる、初期資金の投資や助言・育成に関心が高い個人投資家にアプローチし資金調達を図ります。
一般的に交渉した相手の1/10が投資してくれれば良いと言われます。

<エンジェルネットワーク例>
angel port (https://angl.jp/)
Founder (https://found-er.com/)
Fracton Ventures (https://fracton.ventures/)  DAOをテーマにした独立VC

step-1.2-DAO関連でのサイバー調達

海外のDAOやエンジェルネットワークにアプローチして調達する方法です。
具体的な事例で紹介します。
Juicebox (https://juicebox.money/#/)
投資資金募集(ファンドレイジング)を目的としてDAOです。
AngelList Venture (https://www.angellist.com/)
米国を中心としたエンジェル投資家とのネットワークサイトです。

このほかにもDao創業者が集まるオンラインコミュニティに参加して調達することもあるようです。
defialliance (https://www.defialliance.co/)
(defiの創業者・投資家などのコミュニティ。参加し、エンジェルに投資を提案する。)

ここまでの資金調達により、ビジネスモデルの確立、プロダクトの洗練(機能強化など)、組織体制強化(マネージメントとコントリビューター育成・管理)、コミュニティづくり(ロイヤルユーザー組織・ファン層拡大)、等を行い実績を積むのが一般的です。

調達2.0  (調達規模 数千万円~数億円以上)

DAO活動の枠組みができ、売上が上がるなど信頼が得られるようになったところで、拡大・理想の追及に向けてのより大きな資金調達を行うのがこのステップです。

step-2.0-ベンチャーキャピタルなどの大口投資家からの調達

アメリカを中心に大口投資家がDAOに投資する事例が見られるようになっています。
(例 Friend with Benefit, MakerDAOなどがa16zと呼ばれるアンドリーセン・ホロウィッツという大手VCから大きな資金提供を受けていると言われています)

<DAO投資で知られる有名VC例>
アンドリーセン・ホロウィッツ
Coinbase Ventures
panteracapital

調達3.0 (数億円~数十億円規模)

ここから先は基本的に一般的な仮想通貨の拡大と同じようなプロセスをとるのが一般的です。
株式投資で言うところの株式公開に向けたアプローチと同等なのがIEO(Initial Exchange Offering)と呼ばれる通貨取引所への上場です。
そのためのステップとして下記のようなステップをとることも多いです。

step-3.0-Air Drop やLaunch Padでのプロモーション

どちらも一定の流通量を確保しながらIEOに向けて注目を集めるプロモーションとして行われます。

●Air Drop
流通数を獲得するために行う無料配布
●Launch Padでの先行販売
IEOの前に事前で予定売り出し価格よりも割り引いた価格での販売
Launch Padと呼ばれる通貨販売所で販売されます。

step-3.1-IEO (Initial Exchange Offering)

仮想通貨取引所への上場による通貨の販売。
<主な仮想通貨取引所>
Coinbase
Binance
FTX
※仮想通貨取引所は世界中に100以上あると言われ、それぞれの取引所が独自の審査基準を設定して上場審査しています。
※日本では金融庁が仮想通貨のホワイトリストを作成しその信用度を判定しています。
ホワイトリストに記載されていない仮想通貨を販売する時には金融庁の認可が必要とされています。

以上が大まかな資金調達(特にアーリーステージにおいて)のあらましです。
DAOはまだまだ始まったばかりの組織なので、資金調達もいろんな方法があると思います、資金調達にあたっては自分でも調べて方法を検討してください。
特に注意すべきなのは反社会的勢力の資金が入らないように留意することです。

※Juiceboxでの資金調達方法

資金調達DAO「Juicebox」で資金調達にどのような視点が必要かを学習可能です。
下記を参考に見てみてください。
資金調達サイト Juicebox登録方法
(ここではウィキリークスの主催者ジュリアン・アサンジを救出するための支援DAO「AssangeDAO」が数十億円を集めるなど多くのDAOが資金を獲得しています。)

※資金調達のための具体的ノウハウについて

synthetixというDAOのブログに具体的なノウハウの記載がありましたので、こちらに記載しておきます。

1-投資依頼のレターの書き方
2-仮想通貨の分配計画のセオリー
※DAO First Capital Formation (KAIN WARWICK - 01 JUL 2021)からの転載
https://bit.ly/3oJecj8

1-投資依頼のレターの書き方
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Hi Name,
This email is to confirm your contribution to the "Project" DAO. The token and vesting contracts are currently under audit. Once the audit is complete, we will deploy them and create a vesting entry with your address. The tokens will be locked for N months from TGE and then vest linearly over N months.
Please respond with the address you are contributing from. Also, let us know if you would like to receive your tokens at a different address.
Investment: N USDC
Tokens: N TICKER
Address: 0xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

Let us know if you have any questions. Please advise if you would like to make a test transaction and we will confirm receipt.
Thanks, xxxxxxx
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2-仮想通貨の分配計画のセオリー
<仮想通貨の分配計画のセオリー>
Early Investors: 5-15% (初期投資家保有分)
Contributors: 10-25%  (DAOへの協力者、スタッフ等への報酬)
Yield Farming and other liquidity incentives: 20-50% (通貨上場及び上場後の対策)
Treasury: 10-30%   (DAO本体への資産・将来投資資金調達など)

このような配分をベースに自分のケースに当てはめて検討するのがよいようです。

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