DAOの基礎知識

DAOの設立 - 企画編 -

まず最初にDAOとして設立するからにはそのメリットをまとめておきます。
(本サイトのDAOの基礎知識「DAO設立の留意点」の一番最後にまとめた「DAO活用のメリット」の内容です。」)
これらが重要でない場合はDAOの形態がふさわしくないかもしれません。
※意思決定を独断で行いたいなどの場合はDAO化には適していないと考えられます。
まずこのことをしっかり認識したうえでDAOの事業計画を考えましょう。

●DAO活用のメリット

1-民主的な組織運営をしたいという考えを実現
2-投資家も協力スタッフもそして顧客さえも支援者として成長に関わってもらえる仕組み
3-自走型組織が自動的に大きな成長を獲得する可能性
4-初期投資や運営の投資コストが比較的に低コスト (プロダクト開発+マーケティング)
5-DAOであることの注目度アップ
このような点からDAOは理念に共感するコミュニティと共にプロダクトを共創し、ともに盛り上げ、恩恵もコミュニティと共有する場合に適した組織形態と考えられます。
このことを前提にした上で企画を行うことが望まれます。

●DAOの企画・設計

どのようなDAO設立するのかの企画立案です。
DAOは通常の事業計画と違い、仮想通貨をどう活用するかも検討しなければなりません。
そして、どのようなビジョンで事業=プロダクトを作るのかは株式会社の設立以上に重要です。
DAOにとってコミュニティはとても重要で、コミュニティを活性化させるのはプロダクトだけでなく、この事業が何を目指しているかなどのビジョンへの共感も非常に大切だからです。ビジョンが多くの人の共感を得るものであればコミュニティには多くの人が集まり活性化されます。

1-DAOの内容とタイトルを検討する。

プロダクトの内容を考えるうえで下記をまとめます。
※このパートは通常の事業企画を考える場合と同じです。

〇プロダクトの内容は何か?
Q-1 誰のどのような課題があるのか。
Q-2 その課題をどのように解決するのか。
Q-3 そのためのプロダクトはどのような内容なのか。
Q-4 そのサービス形式は? 価格は? 顧客獲得方法は?
などを検討していきます。

例えば、日本プロ野球協会がDAO化するケースを考えましょう。

Q-1 誰のどのような課題があるのか。
プロ野球界は日本に野球を通じてスポーツの魅力・感動を与え豊かな社会を作りたい。
プロ野球界だけでなく、多くの日本人と野球の喜びを共有したい。
野球を極めたいと考えるプロ選手が野球に専念できる環境を作りたい。

Q-2 その課題をどのように解決するのか。
プロ野球選手を育成し、世界で戦えるスキルを持った選手を育成する。
年間を通じたゲームを開催と練習の枠組みを作り切磋琢磨する。
ゲーム観戦の機会を提供し、野球の楽しさを知ってもらう。

Q-3 そのためのプロダクトはどのような内容なのか。
日本プロ野球機構というゲーム開催の組織・枠組みを作る。
加盟するプロ野球チームを設立する。
プロ野球選手をチームに所属させる。
リーグ戦、日本シリーズなど定期試合の開催フォーマットを作る。
ゲーム会場を準備し、マッチメイクし、観戦方法、情報提供方法などを整備する。

Q-4 そのサービス形式は? 価格は? 顧客獲得方法は?
入場チケットの販売、放映権料、グッズ販売、企業協賛金などにより収益を上げる。
入場チケットの販売   @5000円×1万人/1ゲーム
放映権料        TV放映 500万円/1ゲーム
グッズ販売ロイヤリティ @200円×50万個/年間
企業協賛金       @500万円×10社/年間

2-DAOの内容とタイトルを検討する。

企画内容を考えたので、次はDAOのタイトルを考えましょう。
できるだけ特徴的なタイトルを考えます。
タイトルはプロダクトの内容と個性が感じられるものにしましょう。
〇タイトル
JBリーグDAO (Japan baseball リーグDAO)
(日本のプロ野球機構・リーグ及び球団のDAO化)

3-コミュニティ・マネージメントについて検討する。

DAOの設立において、Discord、ツイッター、telegramなどを活用したコミュニティは必須です。
コミュニティの盛り上がりが成功を決めると言われています。

〇ターゲット(国内のみ又は世界ターゲットなど)
国内だけで十分なマーケットがあるのか。
もしくは、世界的にサービス拡大ができるテーマなのか。
最初から日本国内に絞らずに世界マーケットを視野にした展開をしているスタートアップのDAOもあります。
これらを検討することで、日本語のみ又は日本語・英語(中国語・スペイン語など)でマーケティングを行うことが必要になります。

〇ターゲットのテイスト
主たるターゲットがどういう相手なのか。
DeFiであれば投資家、NFTコレクションであればファン層中心など、ターゲット設定も重要です。
そのターゲットに合わせたコミュニティづくりが大切です。

〇有力なDAOの例
世界的に有力なDAO
(当サイト「現在の有力DAOの分析」の中の「時価総額別上位DAOトークン」など参照
日本で有力なDAO
・web3関係のスタートアップ向け
和組devillagge  など
・DAOとしてすでにローンチ又は準備中のもの
indureDAO 、YoursDAO など
・NFTとして大きな人気
NinjaDAO 、LAG(Love addicted Girls) Pixel Heroes など
これらのDAOは活発に議論されています。
一度中を覗いてみるとよくわかると思います。

〇コミュニティ管理の実際
多くのDAOがコミュニティ管理に大きな労力を払っています。
概ね24時間いつも誰かが参加してきたらコミュニケーションとるようにしているケースが非常多いようです。
多くがコミュニティマネージメント用の常駐スタッフ用意しているようです。

●DAOとして仮想通貨発行について検討する。

株式会社におけるファイナンス計画にあたる部分です。
具体的な資金調達方法は別ページに紹介しますので、ここでは企画段階で考えておくべき、発行する仮想通貨の総量ルールと分配方法について考えます。

1-総量ルール

仮想通貨が無限に発行できるルールだと通貨は理論的な価値を持てません。
発行量をあらかじめ設定することで価値が生まれます。
発行量と既存通貨との交換率を決定しましょう。

2-通貨の分配の考え方

〇DAOは発行した仮想通貨の価格が上がることに価値がある
→金額が上がり、通貨保有者が利益を得る仕組みを考えておく。
※この意味からも総発行量を決めておくことは大切です。
〇初期段階においては独自通貨の信用がないため独自通貨を支払いに使用が難しい。
DAOの初期段階においてステーブルコインなどでの保有が必要
〇規模拡大や新機能・新規事業計画のために一定以上の仮想通貨は内部留保が必要
このような考えのもと、通貨発行計画をたてていくのですが、通貨発行計画は市場環境も関係するため計画通りには進みません。

そこで一般的にセオリーとされている配分を記載します。
synthetixというDAOのブログ投稿を参考にします。

※仮想通貨の分配計画のセオリー

Early Investors: 5-15% (初期投資家保有分)
Contributors: 10-25%  (DAOへの協力者、スタッフ等への報酬)
Yield Farming and other liquidity incentives: 20-50% (通貨上場及び上場後の対策)
Treasury: 10-30%   (DAO本体への資産・将来投資資金調達など)

※参考文献
DAO First Capital Formation (KAIN WARWICK - 01 JUL 2021)からの転載

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